ICANOF第12回企画展『矢野静明 ——— 種差 enclave』
2014年8月22日(金)~9月15日(祝)
9:00~18:00(最終日のみ閉館16:00 休館日:8月25日・9月8日)
共催・会場:八戸市美術館/入場無料
主催:市民アートサポートICANOF
キュレーター:豊島重之
後援:BeFM・東奥日報社・デーリー東北新聞社・伊吉書院・木村書店・カネイリ・八戸市文化協会・(公社)八戸観光コンベンション協会
- 矢野静明 YANO Shizuaki
画家。立教大学映像身体学科兼任講師。2012・13・14年に連続個展、ほか多数。1989年「今日の作家展:多極の動態」横浜市民ギャラリー、2007年「南九州の現代作家たち展」都城市立美術館。2007年「ICANOF展」八戸市美術館で展示・講演。2009年モレキュラー『マウスト』公演のテクスト執筆及び講演。
種差 enclave/矢野静明〈飛び地の絵画〉
TANESASHI enclave into/out of YANO Shizuaki’s paintings
画家矢野静明は〈移動・移民〉シリーズや〈トラック・轍〉シリーズの絵画作品で知られている。紙にパステル・木炭・墨・インク、さらには油彩・水彩さえも、無謀とも思える噛み合い・アジャンスマンによる紙の地の試練、紙面から絵画への坩堝のごとき変成。近年ますます神奈川や都内の画廊での新作個展〈聖家族〉シリーズなど精力的な活躍が注目を浴びている。個々の作品に孤島の深まりが出てくるとともに〈移動〉のテーマにも群島の底光りを発してきたようなのだ。これまでたびたびICANOF展に招かれ、ファン・ゴッホの絵画やヴィシュニアックの写真をめぐる講演、そして「0ne-day exhibition」など、御記憶の方も少なくないだろう。昨2013年の北島敬三写真展『種差 scenery』を一過性の試みとしないためにも、種差海岸のもうひとつの側面、移動やトラック、つまり移動によって生じた数えきれない往路還路・離散逃散の捉えがたい痕跡をたどる「轍(わだち)のアクチュアリティ」を問い直したい。題して『種差 enclave』。八戸市美術館の全階ギャラリーを矢野絵画の5つのシリーズが満を持して埋め尽くす。それだけでも壮観というべきだが、さらに開幕の両日、モレキュラーシアターによる新作2作『のりしろ bis』・『にのまい bis』連続公演も見逃せない。なぜなら2作とも種差からカフカスへ〈飛び地=エンクレィヴ〉・ビルケナウから種差へ〈飛び地=エクスクレィヴ〉という、いくえもの水路・空路の消息を本展テーマに重奏してやまないからである。
展示概要
1F:矢野静明〈トラック・轍〉シリーズ
2F:矢野静明〈聖家族〉〈移動・移民〉シリーズ
3F:矢野静明〈霧は濃度に依存する〉〈不安は魂を喰いつくす〉シリーズ
1Fエントランス:特別展示《北島敬三+豊島重之 種差四十四連図ポスター》
オープニング特別プログラム:八戸市美術館2F講義室・3Fギャラリー
- ■8月22日(金)
- 18:00~19:00 オープニングトーク《飛び地の絵画》
講師:石川千佳子(美学理論・宮崎大学教授)+矢野静明(画家)
19:15~20:00 モレキュラーシアター『のりしろ bis』公演
20:10~21:30 トーク《のりしろ、または種差エンクレィヴ 》
講師:佐々木敦(批評家・早稲田大学教授)+八角聡仁(舞台芸術論・映像論、近畿大学教授)+鵜飼哲(フランス文学・思想、一橋大学教授) - ■8月23日(土)
- 14:00~14:45 モレキュラーシアター『にのまい bis』公演
15:00~15:40 レクチュア《「どこにいても」――墓とその代補をめぐって》
講師:鵜飼哲(フランス文学・思想、一橋大学教授)
15:50~17:30 トーク《二の舞い、または症候と抵抗》
講師:佐々木敦+矢野静明・宮田徹也(美術史家)・八角聡仁
18:00~21:00 オープニングパーティ(八戸ワシントンホテル) - ■8月24日(日)
- 13:00~13:20 佐藤英和映像作品
『矢野静明ドキュメント ———— 手の散策・目の転地(仮題)』上映会
13:30~14:10 及川廣信ダンス公演
《矢野静明の作品から ———— ゴッホ、アルトー、ウッチェロへとめぐる一つの神話》
出演:及川廣信(身体哲学・アルトー館主宰)
14:20~15:30 トーク《飛び地する身体・1》
講師:鵜飼哲+石川千佳子・矢野静明
15:40~17:00 ラストトーク《飛び地する身体・2 》
講師:佐々木敦+ほか
モデレーター:豊島重之
問合せ:ICANOF 090-2998-0224
031-0022 八戸市古常泉下14-18
mail :icanof8@gmail.com(半角にご変換下さい) またはお問い合わせフォームから
トーク講師・略歴
- 石川千佳子 ISHIKAWA Chikako
美学理論・美術批評家。宮崎大学教育文化学部教授。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。芸術学修士・安宅賞。主な論考に2013年「英米における版本の蒐集と画史・画論の受容について」、2006年「第3回福岡アジア美術トリエンナーレ攷」ほか多数。 - 鵜飼哲 UKAI Satoshi
フランス文学・思想。一橋大学大学院教授。主著に『ジャッキー・デリダの墓』『主権のかなたで』『応答する力』ほか多数。訳書・共訳書にジュネ『恋する虜』『公然たる敵』『シャティーラの四時間』・デリダ『盲者の記憶』『ならず者たち』『生きることを学ぶ、終に』ほか多数。 - 佐々木敦 SASAKI Atsushi
批評家。早稲田大学文学学術院教授。HEADZ主宰。雑誌エクス・ポ編集発行人。主著に『シチュエーションズ』『ニッポンの思想』『批評時空間』『未知との遭遇』『「4分33秒」論』『即興の解体/懐胎』ほか多数。モレキュラー公演は二度目・ICANOF展講師は初。 - 宮田徹也 MIYATA Tetsuya
日本近代美術思想史研究。ダンス・舞踏・音楽・デザイン・映像・文学・批評・思想を交錯しながら文化の〈現在〉を探る。最新論考に『今 舞踏はどこに向かっているのか』ほか多数。モレキュラー公演は二度目・ICANOF展講師は初。 - 八角聡仁 YASUMI Akihito
批評家。舞台芸術論・映像論専攻。近畿大学文芸学部教授。京都造形芸術大学舞台芸術研究センター客員主任研究員。編著に『現代写真のリアリティ』ほか多数。
ICANOF展・モレキュラー公演の講師多数。 - 豊島重之 TOSHIMA Shigeyuki
演出家・美術展キュレーター。主なモレキュラーシアターの舞台に『Ohio/Catastrophe』(シアタートラム)『nori-shiro』(座 高円寺1)『Decoy』(沖縄県立美術館)ほか。主な編著・共著に『飢餓の木2010』『ドゥルーズ 千の文学』『種差の世紀/種差四十四連図』ほか多数。 - 佐藤英和 SATO Hidekazu
映像作家・映像ディレクター。主な映像作品に『CAN OF ICANOF(イカノフの缶詰)』『北島敬三:種差撮影ドキュメント』ほか多数。