『68-72*世界革命*ポスター展』
ICANOF 8th Media Art Show 2008 “68-72*ASTERISKED*PLACARD”
![]() (photo by TSUKIDATE Toshiei) ![]() (photo by HANDA Haruko) ![]() (photo by KASHIWASE Yatsumine) |
ユメの中でユメを喰らう貘に
〈*=ワイルドカード〉を!
(1) イマが2008年だって? ウソだろう、ユメでもみているのではないか。それともイマとは、無限定過去という時制をもつ写真のことだったのか。行く手を阻むレッドカードをかいくぐって「68~72年」へのタイムスリップ? むしろ無限定過去の渦中でポスターを一品制作するという、盗作ならぬ「倒錯のすすめ」。たとえば東映ヤクザ映画が一世風靡した68年、東大生橋本治(現・作家)による「とめてくれるな、おっかさん、背中のいちょうが泣いている」という大学祭ポスターが人気を博した。それに倣って、同年「あしたのジョー」「ハレンチ学園」新連載や翌年「もーれつア太郎」に「ニャロメ」初登場のポスター、というのは不可能だろうか? いまどき無意味だろうか?
(2) とかく捏造の噂が絶えない69年アポロ11号の月面着陸と、その月の石が展示された70年大阪万博と、71年銀座三越に初のマクドナルド一号店進出をオーヴァーラップさせるポスターはある意味容易だが、その反面、68年米軍による南ベトナムのソンミ地区ミライ村虐殺事件と、69年狂信教団マンソン・ファミリーによるシャロン・テート虐殺事件と、72年連合赤軍妙義山リンチ殺人事件を、どう映像的にスクラッチ・ラップさせるかは、そう容易ではあるまい。
(3) どんな映像にも言葉が伏在している。しかしそれを文字にしてしまえば、それもまた映像に変貌する。ポスターとしてのメディア機能は失わずに、もう一つの過剰さがICANOFには求められている。それなら68年の決定版。変装白バイ警官による12月東京府中の三億円強奪事件は時効を迎えたが、その直前の10~11月東京・京都・函館・名古屋の連続射殺魔=永山則夫は翌年4月逮捕された。彼の故郷・板柳の「木橋(もっきょう)」 から流れ出した「異水(いすい)」が、刑死する(刑殺される)までの「黙狂の日々/異水の世紀」を暗示するとすれば、そこにどんなポスターが構想されるだろうか。