ICANOF第7企画展 『ISTHMUS/イスムス=地峡展』 

ICANOF 7th Media Art Show 2007 “ISTHMUS”
by photographs and digital images

《八戸と沖縄のはざまにある(海峡ならぬ)地峡が生起する!》
2007年9月12日(水)~30日(日)/19日間(休館日なし)
八戸市美術館(1F・2F・3F)/開館11時~19時
入場無料 (特別プログラム=ICANOF芸大公開セミナーを除く)
 
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企画趣旨

これは単に、北の街八戸のICANOFが南島の沖縄を主題とする一過的な「域際交流」展ではあり得ません。北と南に分断されながら対極的に位置しながら「同じ基地をもつ街」として、どこまで継続的な芸術交流を苛烈に深めることができるか。日本=群島/アーキペラゴをその両端から貫く北と南の遭遇/出来事としての「まなかい=眼交い」。地政学的な海峡を幾つも超えて、新たな未知の「地峡」を創発すべく三年がかりで準備した壮大な実験の第一歩なのです。翻ってグローバル化の猛威が、今や大都市にではなく日本群島の北端と南端にこそ吹き荒れているとすれば、「地峡」とは、そうした地政学的な布置を内破する、北と南という日常/戦場を生きる芸術家の志操/戦意の在り方を提示することに他なりません。

出品作家

比嘉豊光(沖縄・読谷村生れ・在住の写真家。「島クトゥバで語る戦世=イクサユ」)
高嶺剛(沖縄・石垣島生れ・京都在住の映画監督。「夢幻琉球・つるヘンリー」ほか)
仲里効(沖縄・南大東島生れ・那覇在住の批評家・映画作家。「Condition Delta Okinawa」)
港千尋(写真家・批評家・映画作家。沖縄の記憶を発掘した「チェンバレンの厨子甕(ずしがめ)」)
伊藤二子(八戸生れ・在住の造形家。沖縄/地峡の活断層を抉った新作24点)
米内安芸(八戸生れ・在住の写真家。沖縄/地峡を転写した新作20点)
半田晴子・佐藤安津子・花田悟美・舩水流・佐藤英和・佐々木遊・櫛引素夫による写真・映像作品

「イスムス=地峡」展・特別プログラム=ICANOF芸大市民公開講座
■9月13日(木) 第23回ICANOF八戸芸術大学=市民公開セミナー
18:45~20:15 高嶺剛監督「夢幻琉球・つるヘンリー」上映
20:15~21:15 高嶺剛トーク「夢幻/ONIRIQUE=オニリックの詩学」
 
■9月14日(金) 第24回ICANOF八戸芸術大学=市民公開セミナー
19:00~19:35 ダンス公演「ISTHMIAN RHAPSODY(イスミアン・ラプソディ)・1」
出演/大久保一恵・四戸由香・苫米地真弓・田島千征・斉藤尚子・秋山容子
19:40~20:12 チュン・リー(仲里効)監督「コンディション・デルタ・オキナワ」上映
20:15~21:15 仲里効・豊島重之トーク「オキナワ、イメージの縁=エッジ」
 
■9月15日(土) 第25回ICANOF八戸芸術大学=市民公開セミナー
12:00~12:40 佐藤英和「CAN OF ICANOF(イカノフの缶詰):new version」上映
12:45~13:25 比嘉豊光「島クトゥバで語る戦世=イクサユ:伊江島篇」上映
13:30~14:10 矢野静明(画家)講演「場所を持たないものたちの現われ」
14:10~14:40 比嘉豊光・伊藤二子・矢野静明トーク「想像不可能を想像する」
14:50~15:05 ダンス公演「ISTHMIAN RHAPSODY(イスミアン・ラプソディ)・2」
出演/大久保一恵・四戸由香・苫米地真弓
15:10~16:45 港千尋監督「チェンバレンの厨子甕(ずしがめ)」上映
16:45~18:00 港千尋・倉石信乃(写真史)トーク「死者たちのイスムス」
 
■9月15日(土) ISTHMUS展オープニングパーティ
18:30~ 会場/八戸グランドホテル
会費/5000円(イスムス展図録1冊謹呈) ※図録ご持参の方は3500円
(どなたでも御参加できます。下記ICANOF事務局にて受付け中)
 
■9月16日(日) 八戸イスムス・八戸アセファル KANKO バスツアー
(定員30名限定:申し込みはお早めに。下記ICANOF事務局にて受付け中)
 
■9月23日(日) 第26回ICANOF八戸芸術大学=市民公開セミナー
15:00~15:20 ダンス公演:
田島千征・斉藤尚子・秋山容子出演「ISTHMIAN RHAPSODY(イスミアン・ラプソディ)・3」。
苫米地真弓出演「FOTEU LA CENDRE(写真/ここになき、灰)・4」
15:25~16:10 江澤健一郎(仏文学)講演「エドゥアール・マネ/不定形=アンフォルムの絵画」
16:15~16:40 ICANOF(佐藤英和・舩水流)映像作品上映
16:45~17:25 矢野静明(画家)講演「フィンセント・ファン・ゴッホの模写の謎/テオの謎」
17:30~18:30 伊藤二子・江澤健一郎・矢野静明トーク「写真・絵画・映画のフレーム/グリッド/イスムス」
 
■9月30日(日)
14:30~16:00 米内安芸(ICANOF代表)ワークショップ(八戸市美術館全館・参加無料)

主催・問合せ:ICANOF事務局 090-2998-0224 〒031-0022 八戸市古常泉下14-18
tel/fax 0178-45-9247  email:icanof@hi-net.ne.jp

共催:八戸市美術館
後援:デーリー東北新聞社・東奥日報社ほか
助成:芸術文化振興基金 Supported by Japan Arts Fund
協賛:公益信託青森県ボランティア基金・八戸酒造・武輪水産・東北カラーデュープ・ARTizan・番丁庵・サンフレンド・株式会社カシマ・むつ小川原港湾運送・八戸グランドホテル・フォトセンター惣門 ほか

 

ゲストアーティスト/講師
2007isthmus_higa
比嘉豊光 HIGA Toyomitsu
写真家。沖縄県読谷村(よみたんそん)生れ・在住。琉球大学美術工芸科卒業。
「琉球烈像――写真で見るオキナワ」展「永続する時間――沖縄と韓国、内なる光景」展など個展・グループ展多数。沖縄や国内各地、海外ではソウル・NY・モスクワでも「島クトゥバで語る戦世」「ナナムイ」上映と写真展。2003年『島クトゥバで語る戦世――100人の記憶―』を「琉球弧を記録する会」として刊行。
写真集に『’95夏沖縄・50年目のレクイエム』(ゆめあ~る刊、1995)『光るナナムイの神々』(風土社刊、2001)『赤いゴーヤー 1970-1972』(ゆめあ~る刊、2004)。2007年6月佐喜眞美術館での個展に合わせて、最新写真集『わったー〈島クトゥバで語る戦世〉-684――《黄色いゴーヤー》』(ゆめあ~る刊)。
06年7月ICANOF「テロメリック展」に一週間、滞八。06年11月前島アートセンター提携によるICANOF沖縄展でのトークショウ講師。
 
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伊藤二子 ITO Tsugiko
造形家。八戸市生れ・在住。
07年8月最新作個展(八戸市美術館)。06年7月ICANOF展で鵜飼哲レクチュア「カルトポスタルとテレパシー」を聴講。06年8月の美術館での新作個展に鵜飼哲氏が再来八。それが07年4月、初の東京個展『千のナイフ』での鵜飼哲レクチュア「伊藤二子のコンステラシオン=星座」につながった。この講演全容は07年9月刊・ICANOF図録=写真集「イスムス」に収録された。
07年2月ICANOF芸大・矢野静明レクチュアに講師として参加・提言。9月のイスムス展には講師として二度出席されるとともに、最新作40号20点が展示される。
一貫した制作姿勢として 〈昨日の己れを超え得たか。太古の風をひきつぎ得たか。現代に存在しうるものであるか。明日への展望をもち得たか。社会に連帯しうるものであるか。これが私のいのちの形なのか。〉
 
2007isthmus_minato
港千尋 MINATO Chihiro
写真家・批評家・映画作家。神奈川県生れ・東京在住。早稲田大学政経学部政治学科卒。多摩美術大学教授。
2007年ヴェネチア・ビエンナーレ日本コミッショナー
1997年サントリー学芸賞受賞『記憶』(講談社)
2006年伊奈信男賞受賞『市民の色』
主な写真集に『瞬間の山――形態創出と聖性』(インスクリプト刊・2001)『In-Between /France Greece』(EU Japanフェスティバル日本委員会刊・2005)『文字の母たち』(インスクリプト刊・2007)など多数。
主な著書に『記憶』(講談社・1996)『映像論』(NHK出版・1998)『洞窟へ――心とイメージのアルケオロジー』(せりか書房・2001)『影絵の戦い』(岩波書店・2005)など多数。
主な映像作品に、2001年ICANOF第一回「TIMELAG/RAGTIME展」(八戸市美術館)出品作『The Ancient Song』これ以外にも『知性と感性の調和のために―クロード・レヴィ=ストロース』(2000)『変身の山』(2002)など。
 
2007isthmus_takamine
高嶺剛 TAKAMINE Go
映画監督。沖縄県石垣島川平生れ。高校まで那覇。国費留学生として京都教育大学に入学。その頃から8mm映画を撮り始める。
1974年日本復帰前後の沖縄の風景を凝視した『オキナワン ドリーム ショー』でデビュー。その後も一貫して沖縄を撮り続ける。『パラダイスビュー』(1985)は初の劇映画にして10数ケ国の映画祭に出品。全編沖縄語日本語字幕付きの『ウンタマギルー』(1989)でベルリン国際映画祭カリガリ賞など内外で多数受賞。
ほかに『サシングワー』(1973)『オキナワン・チルダイ』(1978)『V・O・H・R 人間関係の眺め』(1982)『嘉手苅林昌 唄と語り』(1994)『ASOP シュー・リー・チェンの場合』(1996)、1996年のジョナス・メカス来沖がきっかけとなり生まれた『私的撮夢幻琉球 J・M』(1996~)など。
1989年、日本映画監督協会新人賞・報知映画賞最優秀作品賞・キネマ旬報ベストテン第四位。
1990年、ベルリン映画祭カリガリ賞・ハワイ国際映画祭グランプリ・ナント三大陸映画祭グランプリ。
2006年、NYのジョナス・メカス:フィルム・アーカイヴにて「TAKAMINE Go 映画特集」が開催された。
 
2007isthmus_nakazato
仲里効 NAKAZATO Isao
沖縄県南大東島生れ・那覇市在住。高校は那覇。アメリカ占領下の沖縄から留学生として大学進学。法政大学卒。批評家・映画監督。季刊雑誌『EDGE』編集長。
著書に写真エッセー『オキナワンビート』(1992・ボーダーインク)『ラウンドボーダー』(2002・APO)、共著に『沖縄の記憶/日本の歴史』(2002・未来社)『複数の沖縄』(2003・人文書院)『グローバル・ボーダー沖縄』(2007・東京外国語大学院)など。映像では『夢幻琉球・つるヘンリー』(1998)共同脚本ほか、2003山形国際ドキュメンタリー映画祭沖縄特集〈琉球電影列伝〉コーディネーター。『コンンディションデルタ沖縄』(2006)制作など。
06年11月ICANOF沖縄展(MAC)トーク講師。07年、未来社刊の新著『オキナワ、イメージの縁(エッジ)』が好評。
 
2007isthmus_ezawa
江澤健一郎 EZAWA Ken’ichiro
フランス文学専攻。埼玉県生れ・千葉県在住。立教大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程後期課程満期退学。現在、立教大学・法政大学・日本社会事業大学兼任講師。
著書『ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学』(水声社・2005)。共訳書にジル・ドゥルーズ著『シネマ2・時間イメージ』(法政大学出版局刊)『聖なる陰謀――「アセファル」資料集』(ちくま学芸文庫・2006)。論考「写真における時間の傷痕」ほか多数。
06年5月ICANOF「テロメリック展2」講師(バタイユとマッソン)。
 
2007isthmus_kuraishi
倉石信乃 KURAISHI Shino
写真史・近現代の美術批評。07年4月より明治大学准教授。
主なキュレーションに「ロバート・フランク ムーヴィング・アウト展」(1995年・横浜美術館)「菅木志雄 スタンス展」(1999年・同館)「中平卓馬 原点復帰――横浜」(2003年・同館)ほか多数担当。
98年に論考「写真使用法」で、第4回重森弘淹写真評論賞受賞。
著書に『反写真論』 (河出書房新社)。共著に『ヌード写真の展開』(横浜美術館叢書)『明るい窓:風景表現の近代』(大修館書店)ほか多数。
2001年ICANOF「TIMELAG/RAGTIME展」(八戸市美術館)講師(ロバート・フランク論)。03年モレキュラー「イタドリ」公演(国際交流基金フォーラム)及び05年モレキュラー主催「ベケット東京サミット」(同会場)コロック講師。06年ICANOF「テロメリック展」講師(バタイユと写真史のアノマリーをめぐって)。
 
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矢野静明 YANO Shizuaki
画家。宮崎県生れ・神奈川県在住。
07年5月個展『ベッド/壁と窓』。ほかの絵画作品に『映像からの落ち穂ひろい』『アルトー・プール』『図形に向かって滲み出す』など。
著書に『ファン・ゴッホ――絵画以前の問いから』(書肆山田刊)。ゴッホの作品を前にして誰もが覚える強い感銘――それをどのように考えればよいのか。これらの絵画を存在させた一人の人間の矛盾と逆説を見つめ直す。ほか「瑛九論」など論稿多数。
07年2月ICANOF「八戸芸術大学講座――ファン・ゴッホの絵画と生涯」講師。
07年9月ICANOF イスムス展に、15日と23日の二度、講師として来八。

 

ICANOF出品者
米内安芸 YONAI Aki
ICANOF代表。八戸生れ・在住。01年「TIMELAG/RAGTIME展」以来、ICANOF全展(八戸・東京・沖縄)に出品・写真集収録。ローザンヌ装飾美術館に作品収蔵。OKINAWAイスムス連弾。
 
佐藤英和 SATOH Hidekazu
映像ディレクター。京都生れ・東京在住。
98年11月瀬戸内海・佐木島での「モレキュラー演劇ワークショッ プ」に同行し、最終日に(その三日分を徹夜で編集した)ドキュメンテーションを上映して参加者を驚かせた。以降、モレキュラー公演及びICANOF企画展の全記録を担当して現在に到る。
05年2月「CAN OF ICANOF」初上映(photographers’ gallery)。同作は01年9月ICANOF第一回企画展「TIMELAG /RAGTIME展」以来、03年「食間展」04年「風景にメス展/風景の頭部展」05年「メガネウラ展」06年 ICANOF連続企画「TELOMERIC展」(新宿・八戸・沖縄)までを収 録・再編集し続けているワークインプログレス作品。ほかの映像作品に「BECKETT IMMINENCE=ベケット・イミネンス」「FOTEU LA CENDRE=写真/ここになき、灰」など。
 
半田晴子 HANDA Haruko
ICANOFメンバー。東京生れ・在住。03年「BETWEEN MEALS展」以来、ICANOF全展(八戸・東京・沖縄)に出品・写真集収録。溶解するグリッドの連作に挑む。
 
櫛引素夫 KUSHIBIKI Moto’o
CANOFメンバー。青森市生れ・在住。01年「TIMELAG/RAGTIME展」以来、ICANOF全展(八戸・東京・沖縄)に出品・写真集収録。イスムスを物質性の肌理に探る。
 
佐藤安津子 SATO Atsuko
ICANOFメンバー。弘前生れ・在住。03年「BETWEEN MEALS展」以来、ICANOF全展に出品・写真集収録。05年平間至写真大賞。写真集「ニッポンバカヂカラ」刊行。
 
舩水流 FUNAMIZU Nagaru
ICANOFメンバー。青森市生れ・在住。01年「TIMELAG/RAGTIME展」以来、ICANOF全展に出品・写真集収録。07年「Just the person we would like to see truly, can see」。
 
佐々木遊 SASAKI Asobi
ICANOFメンバー。八戸生れ・在住。06年「TELOMERIC展」07年「ISTHMUS展」ポスターデザインを担当。06年11月ICANOF沖縄展に「紙芝居式ドローイング」を出品。
 
花田悟美 HANADA Satomi
ICANOFメンバー。八戸生れ・在住。03年「BETWEEN MEALS展」以来、ICANOF全展(八戸・東京・沖縄)に出品・写真集収録。「写真の思考」の外部を思考させる写真。

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