赤城修司ツイート[2012年2月20日  福島県立美術館。芝を剥ぎ取る。]

第14回企画展『赤城修司+黒田喜夫 ——— 種差デコンタ2016』

(上:赤城修司ツイートより [2012年2月20日 福島県立美術館。芝を剥ぎ取る。] ©AKAGI Shuji)

 

2016年8月26日(金)~9月11日(日)

10:00~18:00(楽日のみ閉館16:00)
入場無料/休館日:8月29日(月)・9月5日(月)

※27日(土)は、特別イベント開催のため、17時閉館となります。急な告知となり、申し訳ございません。
>>本展パンフレット
2016deconta_leaflet_frontS1#1/2 2016deconta_leaflet_frontS2#2/2
▶ 会場 1:八戸市美術館 1F・2F・3F
(八戸市番町10-4  0178-45-8338)

8月26日(金)18:00~「デコンタ・フォーラム 1
8月28日(日)12:00~「デコンタ・フォーラム 3
入場無料・定員80名・事前申込み不要

▶ 会場 2:アメリカンダイナー Rody’s
(八戸市十六日町21  0178-71-2933)

8月27日(土)13:00~「デコンタ・フォーラム 2
要ワンドリンク代・定員80名・事前申込み不要
18:00~オープニングパーティ 会費あり・要事前申込み
 

主催:市民アートサポートICANOF/共催:八戸市美術館
キュレーション:豊島重之(ICANOF)
協賛:南部電機(株)、番丁庵、(株)キタムラ、(株)惣門
後援:八戸学院大学・八戸学院短期大学 地域連携研究センター、東奥日報社、デーリー東北新聞社、青森放送、青森朝日放送、BeFM、(公社)八戸観光コンベンション協会、八戸市文化協会
問合せ:ICANOF事務局 090-2998-0224  icanof8@gmail.com
    031-0022 八戸市糠塚古常泉下14-18 http://icanof.parallel.jp/

 

赤城修司ツイート[2012年2月20日  福島県立図書館。]

赤城修司ツイート[2012年2月20日 福島県立図書館。] ©AKAGI Shuji


(photo by TAKASAWA Toshie  ©ICANOF)

(photo by TAKASAWA Toshie ©ICANOF)

赤城修司 AKAGI Shuji

1967年福島県生まれ。高校美術教員。現在、福島市在住。89年筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業。94年より2年間ブルガリアに滞在、青年海外協力隊美術教師として活動。2011年よりツイッター写真「3. 11 以後」記録と50回もの講演会『僕のみた福島』で全国を駆け巡る。16年3月「BS11 アーサー・ビナード日本人探訪 #12 赤城修司」公式 Youtube 公開。
15年写真集『Fukushima Traces 2011—2013』(OSIRIS)刊行。15年〜『グランギニョル未来』参画。16年8月種差デコンタ展の直後、9月御茶ノ水エスパス・ビブリオ展、10月よりスウェーデンのウメオ大学美術館『Perpetual Uncertainty』展に招待出品が決まっている。
>>講演会歴・展覧会歴詳細
 

—————— 企画展趣旨【種差デコンタ2016への入射角】

 たくさん撮れば写真がたまる。そんなたまった写真を処理するために写真展があるのだろうか。デジカメの出現で大量の写真が撮れるようになったこの時代に、それならいったい何度 展覧会をやれば、たまった写真が処理しきれるのだろう。ネガの置場として仮に置かれている暗室には、処理しきれない写真が日々たまり続ける。仮置場に積まれた除染土が処理しきれずにたまっているように、処理しきれないことが恒常的な状態になる。とりあえず仮にという状態が恒常的に続く。きっと永久に仮のまま置かれる。
 
 写真には被写体の本来性を最終的に表出することができない。写真はその被写体の断片しか写すことができないのだから、撮られた写真はすべて仮のものでしかないだろう。そこに本来として存在していたものを仮の存在に転化させる写真。kanemura_01長閑な田舎だった福島を仮置場に転化させた除染土の存在と、写したすべてを仮にする写真とは、どこかに共通項があるのだろうか。
 
 あなたを撮ることは、本来としてそこにいたあなたを仮の存在に転落させることだ。現実と有機的な関係を持っていたあなたが四角いフレームの中に切り取られる。今ここに生きているあなたは、写真に撮られたことで仮の生に転落させられる。本来生きているあなたから、仮のあなた。シャッターを切ることは、あなたを本来の生から引き離し、仮の生に生まれ変わらせることだ。ネガ状態で保存されたあなたは、ネガシートという仮置場に置かれる。仮置場から出されて印画紙に露光された写真は、けれどそれも仮の存在でしかない。無限に続く仮の連鎖。写真はあらゆる人間、風景を仮の連鎖に配置し直すだろう。

(written by KANEMURA Osamu 金村修

 
 

赤城修司ツイート[2013年6月20日  思い切り撮れるのはここだけだと思った。]

赤城修司ツイート[2013年6月20日 思い切り撮れるのはここだけだと思った。]

同[2013年6月21日]

同[2013年6月21日]

同[2013年6月21日]

同[2013年6月21日]

同[2013年6月22日]

同[2013年6月22日](以上4点 ©AKAGI Shuji)


 

デコンタ・フォーラム 1

▶8月26日(金)

八戸市美術館 2Fギャラリー(入場無料・定員80名・申込不要)

18時~:赤城修司講演『あの事故後にみえてきたもの』

19時~:椹木野衣講演『災害と美術の臨界』

19時45分~21時:クロストーク#1 『カリオキバとは何ものか?』 
出席:飴屋法水・山川冬樹・鵜飼哲・金村修、ほかトーク講師陣

 

デコンタ・フォーラム 2

▶8月27日(土)

Rody’s 2F(要ワンドリンク代・定員80名・申込不要)

13時~:倉石信乃講演『孤島論 ——— 土の深浅』

13時半~:矢野静明・金村修・赤城修司ほか『写真と絵画のグリスマン(glissement)』

14時半~:鵜飼哲講演『空想の笑い ——— 黒田喜夫の詩的方法の探求』

15時45分~17時45分:クロストーク#2『ツヅボウないしはツチボウ:地中の武器』
出席:飴屋・山川・椹木・露口・八角・鵜飼、ほかトーク講師陣

※18時~21時:オープニングパーティ@Rody’s(会費あり・要事前申込)

 

デコンタ・フォーラム 3

▶8月28日(日)

八戸市美術館 2Fギャラリー(入場無料・定員80名・申込不要)

12時~:グランギニョル未来【ガマのなかの帰還困難区域】公演

12時45分~:クロストーク#3『種差(しゅさ)とアノマリー』
出席:赤城・山川・飴屋・椹木(グランギニョル未来)ほかトーク講師陣

14時~16時:クロストーク#4 『〈動物である〉ことを学ぶ、終に』
出席:ゲスト全員による最終討議

 
>> ゲスト/トーク講師紹介

【デコンタ・フォーラム趣旨】

1:[写真とカリオキバ]

 放射線量に応じて、帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域という名で設定された領域で何が起こっているだろうか。住宅地、商店街、道路や線路、学校などが異常繁殖を続ける植物・動物に席巻される福島の光景は、北海道における炭鉱閉鎖後の、炭鉱地帯の各地で見られる光景と、どこか似ていて、しかも決定的に異なっている。同時に、同じ地域内で行なわれている、除染のために地表を剥がし、容器に詰めて、そこここに積み上げていく作業は、そのどちらとも異なった光景を出現させる。

 これら見た目に異なっていたり、同じようだと感じさせたり、あるいは目には見えなかったりする光景に対し、写真は、同質性や差異の明示、不可視の領域の可視化といったことに、関わることができるだろうか。そして、それらの場所と遠く離れていると思われるわたしたちの日常の場所との、あるいは不可視の領域としての広島、長崎、そして、チェルノヴィリやビルケナウとの接続に、はたして関わることができるだろうか。

(written by TSUYUGUCHI Keiji 露口啓二

 

2:[種差とカリオキバ]

 災源から60キロ圏に住む福島市民 赤城修司によるツイッター写真「除染土仮置場:デコンタ(DeContaminant)」展示にいま、山形出自・没後30年の忘れられた前衛詩人 黒田喜夫による「飢餓の思想:地中の武器」が甦る。とすれば、美術批評家 椹木野衣による「赤城論」と文学思想家 鵜飼哲による「黒田論」が炸裂する開幕トーク《デコンタ・フォーラム》も見逃せないはず。 

 「畳を剥がし根太を切りひと掴みの種を蒔き、ここがわたしたちの土地よ」と、母たちはウタいウッタう、水位を増す種差(たねさし)岸礁で。低線量型〈種差(しゅさ)変異〉の野兎たちもウッテウつ「破れた袋から螢烏賊に似た軟体がうようよ、みんなあなたの種よ、貪婪だわ」と。ミンナアナタノ蒔イタ種? 「おお!本望だわ」。そこに失踪せる死者たちの隷属・統治を拒む〈断種のエロス〉を看破しうるなら。

(curation by Shigeyuki Toshima

 

1950年代の若き黒田、大森付近か©黒田喜夫/©共和国

1950年代の若き黒田、大森付近か
©黒田喜夫/©共和国

—————— 黒田喜夫 KURODA Kio
1926年~1984年。詩人・批評家。山形県米沢市に生まれ、同寒河江市に育ち、東京都清瀬市に没する。戦時下は京浜工業地帯の少年工員、戦後は郷里山形県で農民運動に参加するが胸を病み、療養しながら詩作を行う。1935年詩集『不安と遊撃』でH氏賞。主な詩集に『地中の武器』『不帰郷』ほか、批評集に『死にいたる飢餓』『負性と奪回』『一人の彼方へ』など。南島沖縄歌謡から北方アイヌ神謡までを渉猟した批評家としても知られる。
▶ 2010年、黒田の飢餓論を足掛かりに、詩人吉増剛造と画家豊島弘尚によるICANOF企画展『飢餓之國飢餓村字飢餓の木』が八戸市美術館で開催、好評を博した。
▶ 2016年、戦後詩の一つの極北を担う前衛詩人黒田喜夫生誕90周年プロジェクト《一人の彼方へ》として、共和国より『不安と遊撃 黒田喜夫全集』(全4巻+別巻1)刊行が始まる。現在『燃えるキリン 黒田喜夫詩文撰』発売中。

 

問合せ:ICANOF事務局 090-2998-0224  icanof8@gmail.com
    031-0022 八戸市糠塚古常泉下14-18 http://icanof.parallel.jp/

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